読書
    斎藤喜博先生  
   


 


   教師になって1年目の冬。
   教師を辞めようと思ったことがあります。
   腐りきった世界に、耐えられなかったのです。
  「4時に帰るものよ」
  「そんなにやったって、子どもは変わらないよ」
  「がんばったって、無駄だよ」
   などなど…
   純粋だった私は(笑)、打ちのめされました。
  
   憔悴しているわたしを見て、先輩教師がいいました。
  「杉渕さん、武田常夫の本を読んでみたら?」
   さっそく、池袋の旭屋書店に行きました。
   ありました。
   『授業の発見』という本です。
   立ち読みして、ショックを受けました。
   現実とは、全く違う世界が描かれていたのです。
   私の理想とする世界です。
   すぐに購入しました。
   帰りの電車の中で、むさぼるように読みました。
  
   現実の学校からは、想像できない世界でした。
  「そうか、現実ではなく、この世界を相手にすればいい」
   1冊の本によって、新たな命を吹き込まれました。
  
   『授業の発見』は、書斎にあります。
   ときどき、読み返します。
  
   私の原点です。

   武田常夫氏の本を読み、斎藤喜博先生を知りました。
   以前から、名前だけは知っていました。
   書店にずらーっと並んでいたからです。
   しかし、手にすることはありませんでした。
  
   さっそく書店に行き、斎藤先生の本を買いました。
   次々に買って読みました。
   そこには、自分の理想とする世界がありました。
  
   写真集『未来誕生』を手に入れました。
   子どもの事実!
   教師は授業で勝負する!
   独創的な、しかし、本質的な教育に打たれました。
   
   特によかった本は、『教室愛・教室記』
   全集の第一巻です。
   教師なら、ぜひ読んでほしい一冊です。
  
   学校づくりをするようになってからは、『学校づくりの記』
  
   写真集も、もっています。
   『未来誕生』※原版と復刻版
   『いのちこのうつくしきもの』
   『斎藤喜博の仕事』
  
   陰山英男先生と話したときのこと。
  「杉渕さん、今の若い教師は、斎藤喜博を知らないんだよ」
   信じられませんでした。
   
   なるほど、全集は姿を消しています。
   絶版ですね。
   斎藤先生の書いた本も、あまり見かけません。
   よほど勉強している教師でないと、知らないかもしれません。
   入手しようとしても、手に入らないかもしれません。

   あきらめるのは、まだはやいです。 
   今は、インターネットという便利なものがあります。
  
   ◆日本の古本屋
   http://www.kosho.or.jp/servlet/bookselect.Menu
   で検索すれば、見つかると思います。