校内研 授業を創る観点



 授業を創る観点

   ◆授業する
  
   学期末、あゆみの提出日に校内研があります。
   すごい学校ですね(笑)
   授業者の先生方(2人)は、成績付けと並行しての授業準備。
   さぞかし、大変だったことでしょう。
  「2つ授業があると、じっくり見ることができない」
  という方もいます。
   しかし、研究発表に参加したときは、1カ所にはいないのです(笑)
  「新河岸小では、授業者に重きを置いています」
  「授業することに意義があるのです」
   ・授業を見る
   ・授業をする
   100倍くらい効果は違います。
   見るのは、勉強にはなっても力はつきません。
   自分の実践に活かして、初めて力はつくのです。
   見れば見るほど、頭でっかちになります。
   見る=実践ではないのです。
   見て実践しなければ、見ないほうがいいと思います。
   このようなことを、やんわりと話しています。
   研究主任として。
  

   過去・現在・未来

   授業を見る場合、私は次の3つの点で見ています。
   過去・現在・未来です。
   つまり、現在の授業を見て、過去を想像し、未来を想像するのです。
   点で見ると、本時の1時間をあれこれいうだけになります。
   何の意味があるのでしょうか?
   授業は、点ではなく線で見るべきでしょう。
   ※これは、最低ライン。
    その上は、面→立体。
   私の学校では、一発勝負はさせません(笑)
   教材でごまかすこともさせません。
   積み上げを見てもらうのです。
   4月から積み上げてきたものの中間発表なのです。
   そして、今後どう発展しくか を考える場なのです。
  
   打ち上げ花火ではないので、かなり厳しいと思います。
   かっこうつけようとしてもダメです。
   普段のすべてが授業にあらわれます。
   4月からの取り組みのすべてが、授業にあらわれます。
  
   見る人にも、厳しさが要求されます。
   ・きれいごとを言わない。
   ・自分を棚に上げていわない。
   ・代案を示す。
   これは、かなり厳しいでしょう。
   
   つまり、2割5分しか打てない人は、イチロー選手の批判はできないのです。
  
   批判するなら、イチロー選手以上の成績を残してから。
   これが、実践者のルールだと思います。
   
  

   授業を見る(つくる)視点
  
   はずしてはならないのが、「どの子も伸ばす」。
   すべてが、ここに集約されると思います。
   できる子も、(今はまだ)できない子も。
   全員が伸びる授業
  「先生、できた!」
  「わかった!」
   全員が目を輝かせる授業です。
  
   校内研で問題になるのは、この点です。
   とくに、(今はまだ)できない子の指導です。
   教科書通りに指導すると、半数以上ががついていけません。
   ※私の学校の場合。
   ステップを細かくする必要があるのです。
  
   若い先生の授業づくりにかかわります。
   ほとんどの場合、ステップが粗いです。
   粗すぎます。
   
   できない子の場合、劣等感を持っていることが多いです。
   最初にできないと、すぐあきらめてしまいます。
  「ぼくは、できない」
  「ぼくは、ばかだから」
   などなど。
   努力もしないうちに、投げてしまうのです。
  
   ですから、最初が肝心なのです。
   だれでもできる、だれもが簡単にできることから始めるべきでしょう。
  「それは、簡単すぎるんじゃないですか」
  「簡単すぎるくらいがいいんです」
   最初に、「できた」という成功体験を味わうことが大切です。
   成功体験が、次なる意欲を生むからです。
   簡単なステップ(少しずつ難しくしていきます)を踏みます。
   それから、本時の課題に入ればいいのです。
  
   あたりまえのようなことですが、実行されていません。
   ※されていたら、できない子はもっと少ないはずですから。
 

   授業を見る(つくる)視点 2
  
   今回の授業、若い先生は、簡単なところから入りました。
   漢字を使っての文づくり。
   ・漢字の広場にのっている熟語を1つ使えばいい。
   ・簡単な文をつくればいい。
    例 母が応援した。 騎馬戦が始まった。などなど。
   少しずつ、肉付けしていくようにステップを組みました。
   子どもたちの動き、最初からよかったです。
   文をつくると教師に見せにいきます。
   この日は、いつもはいかない子がどんどん前に出ていきました。
  「あの子がねー」
   これだけで成功です。
  
   ベテランの先生は、あえて難しいことに挑戦しました。
   社会 「食料生産」についてです。
   自給率を上げるための方策を考える…
   いろいろな角度から考えさせました。
   知識がある子にとっては、おもしろかったようです。
   しかし、そうでない子にとってはちと難しかったようです。
  
   ・教えること
   ・ヒントを出して考えさせること
   ・自分で考えさせること
  
   バランスが難しいですね。
   
   いずれにせよ、2人の先生とも、挑戦の授業でした。
   守りの授業でなかったのがよかったです。
  

   基礎・基本
  
   各教科の授業の中に、
    ・書く
    ・基礎・基本
   を位置づけるのが、今年度の研究です。
  
   国語は、チャレンジタイムでもやっています。
   ・音読
   ・漢字
   ・熟語づくり
   ・辞書ひき
   ・短文づくり
   などなど。
  
   今回、ベテランの先生(といっても、私より年下)が提案しました。
   社会科における、基礎・基本です。
   ・都道府県カード
   ・いろいろカード
   ・都道府県ビンゴ
   ・地名探し
   
   ★都道府県カード
   各県の写真をカードにします。
   それを見せて、県名をあてさせるのです。
   大人は難しいです。
   子どもたちは、すらすら答えます。
   日頃の積み重ねを感じました。
   私なら、「しむらけん」「まつけん」なども入れるでしょう(笑)
  「今度は入れてね」
   といっておきました。
  
   ★いろいろカード
   基礎・基本のメインです。
   おもしろかったです。
   ・海流の名前を答えさせる
   絵を見て
   ・○○漁業と答えさせる
   「日帰りは」「漁獲量が増えているのは」
   などなど、よく答えていました。
   私たちは「ぎょぎょー」
  
   ★都道府県ビンゴ
   今回は、9マス。
   あらかじめ、9つの都道府県を書いておきます。
   ※漢字で書かせるのがみそですね。
   カードをめくって、県名をいいます。
   書いてあれば○をします。
   上位5人まで。
   さすがに、難しい「愛媛県」を書いた子は少なかったです。
  
   ★地名探し
   地図帳を使って、地名を探します。
   そのときどき、子どもたちに関係のある地名を出します。
   今回は、愛・地球博にちなんで、「瀬戸」でした。
   子どもたちは、地図帳を見て調べます。
   見方、引き方がわかっていますね。
   これも、積み重ねを感じました。
  
   10分くらいの時間です(いつもは、上記のうち2つくらい)。
   毎回、授業はじめに入れることで力がついてきます。
   私の学校では、必要不可欠なことだと思いました。
   ・なかなか覚えない
   ・すぐ忘れる
   という実態があります。
   ですから、まとめのテストになると悲惨です。
   できないというより、忘れてしまうのです。
   覚えていればできるのに…
   忘れないようにするには…
   毎回、少しずつ、続ける!
   これしかありませんね。
   それを、具体化した授業でした。
  
   6年生は、
   ・歴人カルタ
   ・歴史カード
   ・歴史プリントの音読
   ・ミニテスト
   をおこなっています。
  
  
  各教科の授業に基礎・基本を位置づける

   各教科の授業に、基礎・基本を位置づける。
   あたりまえのことかもしれません。
   しかし、実際は、単元ごとの学習がほとんどではないでしょうか。
   横軸(帯といってもいい)という意識は薄いですね。
   音読など、そのときだけやっても効果はあまりありません。
   継続してこそ、効果は上がるのです。
   典型的なのが、卒業式の呼びかけでしょう。
   そのときだけ練習しても、あまりうまくならないでしょう。
   「この単元が終わらないので、テストができない」
   よく聴く会話です(笑)
   大切なのは、単元を終わらせることではありません。
   その単元を通じて、子どもの力を伸ばすことです。
   「子どもの力を伸ばす」という意識が、薄いのではないでしょうか。
  
   各教科の授業に基礎・基本を位置づける。
   これは、「継続的努力」に他なりません。
   その時間というより、1年かけて子どもを伸ばすという発想です。
   点ではなく、線で子どもの成長をとらえるのです。
   毎回実践するので、子どもの成長がよくわかります。
   ・ぐんと伸びた子
   ・伸びない子
   毎回指導していれば、指導を工夫するようになります。
  「あの子、できないのよね」というセリフは出てきません。

   積み上げ
  
   新河岸小の研究は、点ではありません。
   少なくとも、線で子どもをとらえています。
   つまり、子どもの成長です。
   1回の授業がよければ、それでよしではないのです。
   子どもたちをどのくらい伸ばしたか が問われます。
   子どものせいにすると、私はかなり厳しくなります。
   ※人あたり、言葉はやさしくしますけど。
  
   古い話ですが…
   私が20代だったころ、文句ばかりいう人がいました。
  「うちの学級だけ、ひどい子がいる」
  「○○くんは、今まで見たことがない」
   など、特定の子を総攻撃(笑)するのです。
   若かった私は、鵜呑みにしてしまいました。
   ※今は、ホントか嘘か すぐにわかります。
  
   その大変な子を私が受け持つことになったのです。
  「杉渕さん、○○くんは大変よ」
   さんざん、脅かされました。
   ところが…大変ではなかったのです。
   どうしてこの子が大変なのだろう…
  
   その方は、1を10000くらいに拡大して話をしていたようです。
   担任が替われば、問題児は優等生になるのです(笑)
  
  「杉渕さんは、こわいから、○○くんはいうことをきくのよ」
   はたしてそうでしょうか。
   対応によるのではないでしょうか。
  
   子どものせいにするとき、点で子どもをとらえています。
   自分はどんな指導をしてきたのか…
   少しも見ていません。
   目の前の現象だけを見ているのです。
   子どもがよくならないのは、教師の指導が適切ではないからです。
   
   ちなみに、私もよく子どものせいにします(笑)
   あまりにも勉強しないので。