神津小における学校づくり 
 
                            

 神津小システム
 子どもたちの基礎学力を伸ばすために、次のシステムをつくった。

 午前五時間制+基礎の時間+研修タイム
 
 これら3つが合わさって「神津小システム」となる。
 ・午前五時間制…午前中に5時間授業をおこなう。
         ※2002年〜に対応
 ・基礎の時間…毎日取り組む、全校一斉に取り組む。
        1校時…30分、6校時…15分 ※1日45分 
 ・研修タイム…月曜日の3:10〜3:40までの30分。
        ※全員で教材研究する。
 基礎・基本の力を育てる具体的なシステムである。
 
◆校内研をメインに
 校内研のテーマを「基礎・基本の力を育てる」にし、本格的に取り組む。
 ・全校で取り組む。
 ・基礎学力づくりの時間を設定する。
 ・(基礎・基本について)話し合いの時間を設定する。
 ・校内研…月1回、研修タイム…日常
 
◆取り組み
 初めての試みである。
 まずは、昔からいわれる読み・書・算を中心にやっていく。
 ・読み…音読→表現読み
 ・書き…漢字、視写
 ・算……計算(たし算、引き算、かけ算)
 
 ・それ以外…歌、ノートの使い方、
 
 生活指導との連携で、「あいさつ」
 ・礼儀作法
 ・掃除、給食準備、かたづけ
 
 
 
 午前五時間制
 
 午前五時間制神津小バージョン

8:15〜8:20   朝の会
8:20〜8:50   1校時 「基礎の時間」1(30分)
8:55〜9:40   2校時
9:40〜10:25  3校時
10:25〜10:45 休み時間
10:45〜11:30 4校時
11:35〜12:20 5校時
12:20〜13:05 給食
13:05〜13:25 休み時間
13:25〜13:40 掃除
13:45〜14:00 6校時「基礎の時間」2(15分)
14:00〜14:15 帰りの会
14:15〜15:00 神津タイム または7校時
 
 
 特 長
 ・午前五時間制+基礎の時間
 ・サンドイッチ方式…1日の始めと終わりに基礎の時間を設定する。
 
 基礎の時間1(30分)
 2〜5校時
 基礎の時間2(15分)
 基礎の時間を始めと終わりに持ってくるのが工夫である。
 
 問題は、1と2の内容。
  同じ内容をくり返すか。
  内容を変えるか。
  2のほうは、復習タイムにあてるか。
  自学の時間とするか。
 
 ■考えていくべきこと
  ・基礎・基本をどうとらえるか。
  ・基礎の時間の中身
  ・神津タイムの中身
  ・午後の時間の使い方…会議、研修 
  ・総合的な学習とのからみ
 
 基礎の時間
 
 基礎学力をつけるために、全校で実施。
 毎日1校時(30分)と6校時(15分)が「基礎の時間」
 ★ポイント
 ・時間を設定し毎日やる。
 ・全校で取り組む。
 まずは、読み・書き・算からスタート。
  読み…音読
       ※追い読み、一行音読、指名なし音読、表現読み
  書き…漢字、視写
       ※1年生の漢字からスタート、書き順、部首、クイズ、
        ビンゴ
  算……計算
       ※カード、10マス計算、100マス計算
  それ以外に…歌、あいさつ、百人一首、発言など。
 
 基礎基本の中身については、実践する中でじっくりと考えていきたい。
 狭い意味での基礎学力づくりだけでなく、もっと広く深くすべてのベー
スになる力を育てるという視点で取り組みたい。
 たとえば…すべてのベースになる力、生きていく上で必要な力
 ※ただし、頭でっかちにならないこと。まずは実践すること。
 
 生活編…人としてどう生きるか にかかわってくる。
     やさしさ、思いやりといったこと。
     相手の立場を考えられる。→視点を変えてものを見る。
     具体的には…
     今やっていることを位置づけてみたい。
     ・あいさつ…大きな声で元氣よく。自分から。臨機応変に。
     ・礼、礼儀作法、聴く態度、歩き方
 
 学習編…・聴く力、集中力、持続力、追究力、理解力、認識力、表現力
      行動力
     ・段取りをつける力、発想法、思考法
 
 活用できる場、チェックできる場の設定→朝会の活用
 ・時刻までに集まる。
 ・あいさつが大きな声でできる。
 ・聴く態度。礼、集中力、持続力。
 ・歌
 ・行進、歩きかた
 
 研修タイム
 
 ひと月に2〜3回実施。
 月曜日の3時10分〜40分におこなう。
 30分だが、中身の濃い研修になっている。
 ポイント
 ・時間の設定をする(勤務時間内に)。
 ・全員で研修する。
 ・そのときどき、テーマを決めて話し合う。
  ※意見を吸い上げ、研究主任が設定する。
  ※日常的な研修のシステム
 
 具体例
 
 第1回 4月21日 基礎の時間の取り組み
 取り組み  生活面 あいさつ
 返事
 靴そろえ
 整理
 姿勢(体、心)
 学習面 計算
  漢字(1年生からスタート、2年生、その学年の新出漢字)
  計算(10マス計算、100マス計算、九九、2〜3桁のたし算)
  歌
  リコーダー
  システム 朝の会
 集団行動 整列
 
 効果・成果
 ・声が出てきた(あいさつ)。
 ・意識が変わってきている。→全校で取り組むと違う。
 ・やる氣が出てきた。
 ・タイムの向上(10マス計算)→集中力
 ・家でも学習するようになってきた。→自主性
 
 ポイントの抽出
 ・導入の指導。 最初がかんじん。
 ・目(見る)→頭(考える)→手(行動)この連動が大切。
 ・システム…いつ、どこで、何を、どのようにやるかがわかる。
              ↓
         子どもたちだけでも学習できる
 
 第2回 5月1日 あいさつの基礎・基本とは何か?
 
 出された意見
  ・目と目
  ・心、氣持ち→「形」にしたもの
  ・氣持ちよく
  ・思いやり
  ・心を通わせる
  ・コミュニケーション
  ・言葉をかけ合う
  ・正対する
  ・お互いの存在を認め合う
 いい意見がたくさん出された。
 
 次は、どうして「目と目」なのか、そう考えた理由をいってもらった。
 さあ、次が問題。
 理想と現実をうめる架け橋が必要。
 それを押さえるための指導のポイントは?
 
 指導のポイント
   ・自ら先にする。
 ・身近なところから広げていく(例 教室→学校→地域)
 ・「○○さん、おはよう」と名前をいってあいさつする。
 ・握手などのボディランゲージもいれて。
 
 次は、あいさつ(広義のあいさつ)の中で、大切にしている言葉。
 具体的な言葉について、一人ひとりにいってもらった。
 
 「おはよう」  朝一番、始めよければ終わりよし。
           始まりをきちんとする。
           スタートを大事にする。
 
 「はい」    「おはよう」は、軽いのりでできる。
          返事は、氣持ちがないとできない。
          短く、はっきりと「はい」
 
 「ありがとう」 感謝の言葉
           場面を設定する。
 
 専科からの報告
  音楽・家庭
  ・最初と最後のあいさつ
  ・一人ひとりを指導
  ・「ありがとう」
  ・プラスの言葉かけ
 
  養護
  ・相手に伝わる表現
  ・言葉を最後まできちんといわせる。
         
 
 第3回 5月8日  教師の言葉(指示)
 
 今回は、教師にスポットを当てた。
 子どもと教師交互にやっていくのがいいか?
 
 まずは、具体的なところで指示を取り上げた。
 
 いつ  ポイント
もっと前 ・信頼関係
  前 ・静かになってから
・雰囲氣づくり
  最中 ・短い
・わかりやすい
・一つずつ
・距離
・表現(抑揚)
  後 ・評価(ほめる)
・確認
 
 分析
 短いとは?
 例えば何秒くらいのことをいうのか。
 物理的な時間か、精神的な時間か?
 物理的な時間といえば…
 マクドナルドのマニュアルに「30秒以上待たせない」というものがあると聴いたことがある。30秒は長すぎると思われる。
 長くなると、
  意味がわかりづらくなる。
  焦点がぼける。
  指示している意図が伝わらなくなる。
  くどいので聴きたくなくなる。
 などなど。弊害が多い。
 
 せいぜい10秒。
 できれば、5秒くらいがいい。
 長くなりそうな指示は、いくつかにわければいい。
 
 あらかじめ、指示を考えているか。
 その場で考えるのは、ある程度の実力がついてからのこと。
 手抜きは、確実にしっぺ返しを受ける…
 
 わかりやすいとは?
 中身がわかるということか。
 イメージでわかるということではないか。
 子どもの場合はなおさらそうである。
 頭でわかるのではなく体でわかる
 こんな感じであろう。
 
 系統
  ・命令系     ○○しなさい  ○○してください
  ・うながし系   ○○しよう    いっしょにやる
  ・示唆系     ○○したら
 
 自分の指示を見直す
 禁止系と肯定系の指示 どちらが多いか?
 その割合を考えてみる。
 有効期間
 
 指示には有効期限がある。
 期限切れに氣づいていないことはないだろうか。
 1回すれば、永久に有効だと思ってはいないだろうか。
 
 視点
 
  教師から見て→ 指示 ←子どもから見て
 
 指示は、子どもの視点で考えるべきではないか。
 
 教師の視点でつくるとうまくいかない。
 わかっている人が、わからない人にいうのが指示、これを再認識したい。
 わからないということを前提に考えないと、うまくいかない。
 
 第5回 基礎の時間 2ヶ月間取り組んで
 
 効果・成果
 生活 生活習慣
    行動様式
    パターンの把握
 
 学習 10マス計算 2項目ずつ
    学習習慣
    慣れてきた
    指示することが少なくなってきた。
    忘れ物が少なくなってきた。
 
 指導のポイント
  まず、教える。手を取って教える。
  ほめる。
  確認する。
  スモールステップ
  一人ひとりを見る。
  見通しを持たせる。
  学級担任と専科の協力
  待ち時間を短くする。
  活動時間を短くする。
 
 課題
  あきる。だれる。→何分くらいか
  確認のしかた
  何をやるか、どのようにやるか
 
 
 何分くらいが適当だろうか。
 先に進みすぎないこと。