両 極



  両極

 理想と現実の狭間…
 ギャプにゆれる教育界。
 教育の目標などは立派です。
 すごく立派です。
 かっこいいことが書いてあります。
 しかし現実は…(笑)
 ほど遠いですね。

 かっこいいことをいう人がいます。
 その人の授業を見てみると…
 学級を見ていると…
 あまりのギャップに唖然としてしまいます。
「けっこう育っているでしょう」
 どこが…
 
 理想を書くことで満足している…
 できないことを書いても仕方がないと思うのですが…

 理想に近づけようとする具体的手だてが、ほとんどないですね。
 教室の現実に追われます。
 何かあると「それは、理想でしょ!」と開き直ります。
 偏っているというか、矛盾しているというか…
 自分自身もそうです(笑)
 理想には、ほど遠いですね。

 ごまかしも横行しています…

 両極とは、究極のバランスです。
 といっても、半分半分ではありません。
 たとえ9対1でもいいのです。
 ヤジロベエのように、自分の中でバランスがとれていればいいのです。
 

 (例)
     意識と無意識
     極大(大局)と極小(小局)
     清と濁  
     論理と直観
     理論と実践 
     言葉と行動
     話すと黙る  
     心と形
     心と技術       
     具体と抽象
     質と量 
     教えると教えない
     時間をかけると時間ではない
     じっくり研究と瞬間芸
     入力と出力
     学ぶと使う
     個と集団    
     強制労働とイニシアチブ
     見えるものと見えないもの 
     顕在意識と潜在意識

 教材研究をします。
 教師になりたてのころは、時間をかけてじっくり研究しました。
 専門家顔負けくらいに詳しく研究したこともあります。
 自分としてはいい授業になりました。(宮沢賢治『やまなし』)。
 子どもたちは、平均50枚の作文を書くくらい熱中しました。
「時間をかけて研究するほど、授業はよくなる」

 あるとき、行き詰まりました。
 研究しているのだがうまくいかないのです。
 現在の子どもに対応できないのです。
「あれだけやったのに…時間をかけるだけではダメだ!」
 あえて、教材を研究しないことにしました。
 そのかわり授業中子どもの反応にどう対処したらいいか、その場その場で考えました。
 瞬間芸を磨くようになったのです。
 子どもを研究するようになりました。
「その瞬間瞬間に手を打てるようになることが大切だ!」

 あるとき、行き詰まります。
「やっぱり、じっくり研究する必要がある」

 最近まで、これを繰り返してきました。
 他のことも同様です。

 現在は、両極を意識して実践できるようになってきています。

 とくに、瞬間芸を意識しています。

 結局は、同じことなのです。
 両極とは、表と裏なのです。
 究極のバランスです。

 ◆自分の苦手なもの、今まで挑戦しなかったもの、つまり、新しいものに挑戦する。
 →広げる
 ◇得意なものを深く追究する。
 →深める、高める

 これも両極です。

 授業でも、同様です。
 「考えさせる」ことも大事ですが「教え込む」ことも大事です。
 中途半端な人が多いですね。
 中途半端は、何もやらないのと同じです。

 学級創りも同様です。
 やさしさと厳しさが必要です。
 
 
 両極の例

 多くの場合、考え方通っています。
 両極発想すると、一見矛盾しているように見えることが成立します。
 教える授業と考えさせる授業
 教えてもらうと教える

 教育は言葉教育は言葉ではない

◆教育は言葉ではない。
 「時間を守りなさい」
 「チャイムが鳴ったら、すぐに教室に戻りなさい」
 しかし…子どもは時間を守らない…
 担任はかりかりきている。
 しょっちゅう子どもを怒っている(叱るのではなく)。
 どこにでもありがちな光景ですね(笑)

 この先生を見ていると…
 職員朝会が終わっても、なかなか席を立ちません。
 20分休みが終わっても、たばこを吸っています。
 授業は…ほとんどの場合延長しています。
 ひどいときは、10分も延ばしています。
 職員会議は、いつも遅刻。
 「私は忙しい」

 子どもがよくなるわけがありませんね。
 中学生だったら、反発するでしょう。
「おまえはどうなんだよ」
「俺たちに時間を漏れっていうけど、先生はどうなんだ」
 というでしょう。
 健全ですね。
 自分のことを棚に上げ、子どもたちには要求する。
 言葉と行動が矛盾しています。

 一方…
 私に知り合いには、実力者がたくさんいます。
 みなさん、すてきな方ばかりです。
 今回登場するのは、O県のM子先生。
 子どもたちに「チャイムを守りなさい」とはいいません。
 M子先生は
 ・朝早く教室に行き、子どもたちを迎えます。
  一人ひとりに「おはようございます」と声をかけます。
 ・授業は、決して延ばしません。
  チャイムが鳴り終わる前に終了させます。
 ・休み時間に、子どもたちを集めることはしません。
 ・帰りの会は、短く3分。

 M子先生の学級は…
 チャイムが鳴る前に、教室に戻ってきます。
 ちゃんと準備をして、M子先生が来るのを待っています。

 いかがですか?