教師修行 初級編

まず自分がやる
一人ひとりの記録を取る
言葉の修行
具体化(教材研究)


 
 教師修行の基礎・基本を書いてみました。
 初級編といえども、歯ごたえがあると思います。
 また、これらは基本ですから、一生続けるべきことです。

 できるだけ早い時期に、修行をはじめましょう。
 尊敬できる人について、修行をはじめましょう。

 やっているうちに、力がついてきます。




 まずは自分がやる

 子どもにあれこれいう前に、自分がやることが大切です。
 言葉で子どもを動かそうとする人がなんと多いことか…
 口だけで子どもは動きません。

 子どもは教師の言葉を聴きません。
 行動を見るのです。

 「掃除をしなさい」ではなく、自分が掃除をしてみましょう。
 「発言しなさい」という前に、職員会議で発言を。
 自分が体験しましょう。
 多くの教師は、自分がやらないで子どもに要求します。えらそうですね。
 自分がやってみると、その大変さがわかります。
 それ以外にもいろいろとわかってきます。
 「軽くいえない」と思うようになります。
 自分の言葉に責任を持つというのは、並大抵のことではありません。
 子どもに対する言葉かけが変わってきます。

 えらそうにいう前に、まず自分がやってみましょう。
 言葉と行動を一致させる努力をしましょう。
 まずは、3か月。
 半年。
 続けましょう。
 1年間続けてみましょう。
 大きな変化があると思います。

 どのような変化があるか、やった者しかわかりません。
 実感としてわかりません。
 この、「実感としてわかる」ということが大切なのです。

 「まずは自分がやる」
 これは出発点であり、ゴールでもあるのです。
 教師自らやらなければ教育は始まりません。
 あなたの教育は始まっていますか?


 一人ひとりの記録を取る


 毎日、一人ひとりの記録を取りましょう。
 このようにいうと
「そんなの無理ですよ」
と答える人が多いですね。
 この人たちは、自分で「無理だ」と決めつけているのです。ですから、いつまでたってもできません。
 まずは、「できる」と思いこむことから始めましょう。
 私たちは子どもを育ててなんぼの商売です。
 これくらいは、努力のどにもなりません。当然すべきことです。

 さて、その方法です。
 教師になって5年目までは、毎日ノートに記録していました。
 やり方は、いろいろあります。
 @その場で記録を取る。
  座席表(B4版)に、その子を見て思ったことを書くのです。その場で書く、その授業後書く。これなら楽です。記憶が薄れないうちに書くことができるからです。
 A寝る前に思い出して書く
  これはかなり厳しいです。最初は、5人くらいしか思い出せないかもしれません。しかし、続けているうちに思い出せるようになります。
 結婚してからは(特に子どもができてからは)、物理的に時間が取れなくなりました。
 そこで、寝る前に、再生するようにしました。ビデオのように。
 だんだん、映像がくっきりしてきます。
 これが、「一人ひとりを見る」の初歩の初歩です。


 記録を取ればいいのではありません。
 記録を取ることにより、いろいろなことを発見します。
 それが大切なのです。

 記録のための記録ではありません。
 子どもを伸ばすために記録を取るのです。


 今は、無意識のうちに記録をとってます。頭の中に。

 言葉の修行


 教師の指導(表の部分)は、言葉による指導が大部分です。
 ですから、言葉について修行しましょう。
 意識して実践すると、驚くほど力がつきます。

 本当に、教師は話が下手ですね。
 今までに、うまいなと思った方は10人いません。
 ほとんどの人が、問題外です。
 
 少なくとも、アナウンサー、司会者程度の修行が必要でしょう。
 大学のカリキュラムにないのが、不思議ですね。

 まずは、自分の癖を客観的に見てみましょう。
   ・やたらと話が長い
   ・くどい
   ・わかりにくい
   ・「えーっ」を連発する(こういう人、多いですね)
   ・同じ調子(一本調子)
   ・同じトーン
   ・あいまい
 いろいろありますね。
 テープに録ることです。
 放課後、テープを聴いてみましょう。
 聴いてみてイヤにならなかったらたいしたもの。
 ふつうは、イヤになると思います。
 「私じゃない」といいたくなるでしょう。
 自分のイメージとかけ離れているのです。
 というか、ひどすぎるのです。
 私は、3年間毎日聴きました。
 いやになりましたね。
「なんてへたくそなんだ!」
「だれだ、おまえは!」
「あっ、おれか」
 このような自問自答を続けました。
 今は笑えますけど、当時は笑えませんでした。

 毎日、氣づいた点をなおしていきました。
 無駄な言葉を省いていきました。
 ストップウォッチを持って時間を計ることも有効です。
 たいてい、指示が長すぎます。
 10秒越えたら長いですね。

 まあ、やっているうちにいろいろなことがわかってきます。
 多くの人は、言葉について真剣に考えていません。
 教師と子どもをつなぐ媒体なんですから、もっと真剣に取り組みましょう。


 マイナスの言葉を量産している人はいませんか。
 子どものやる氣をなくさせる名人(迷人?)は、たくさんいます。
 どうして、逆をやらないのでしょう?

 不思議ですね。
 
 テレビ番組は、いい教材になりますよ。

 言葉は、自分の意識のあらわれです。
 ですから、心が変わらないと言葉は変わりません。
 このへんのところは、中級編以上にゆずりましょう。


 ※大前提
  「自ら行動」していること。
 

 具体化(教材研究)


 教材研究をしますね。
 (していない人もいるようです。開いた口がふさがりません…)
 具体レベルまでおろす努力をしていますか。
 よく、たいそうな目標を立てる人がいます。ご立派です。しかし授業を見ると、いけません。はっきりいって詐欺です(笑)
 指導案は立派、授業は…
 あまりかっこういい目標を立てるのはやめましょう。

 目標 2つの面から考えましょう。   
 教科の目標…何を教えるか
 子どもの目標…子どもに何を教えるか、何を考えさせるか、何を使わせるか 何を習熟させるか
(後者のほうが重要です)
 具体レベルにおろすとは、たとえば発問を考えるということです。指示を考えるということです。
 あれもこれもやるのは難しいので、まずは、主発問と指示を考えてみましょう。
 実際にやってみて確かめましょう。

 具体化するところまでやらないと意味はありません。

 具体化、これはけっこう難しいです。
 具体化できない人は、子どもを教えることができません